titech07math 123602


正則

1:弥の旧字体 :

2010/08/06 (Fri) 15:11:00

与えられた関数が正則であることを示すのは、やはり全微分でコーシー・リーマンの関係式が成立しているのを示すしか、具体的な方法はないかな?
ちなみに今平成20年度の専門の9をやっているのだが、複素関数の問題のクセにどうも留数を使わずに広義積分可能を示さないといけないらしい。まあ留数が使えるなら、可能でなく値を聞いてくるか…
あとこん9の(2)って場合分けして留数して終わりな気がしますが、何か見落としていますかね?
返答いただければありがたいです。
2:バルタン星人 :

2010/08/07 (Sat) 20:45:36

正則性は、定義がそうなのでコーシー・リーマン方程式
を満たす(つまり反正則微分が0になる)事を見るのが
普通だと思いますが、一応モレラの定理というのがあって
任意の閉曲線での線積分が0になるなら正則になるそうです。

この問題だと、反正則微分が0になる事を示すために
ルベーグの収束定理から、積分と微分の順序交換可能性を
見るか、モレラの定理を使うために、フビニの定理か何かを
使って累次積分の順序交換可能性を見るかですが
どちらも同じ様な感じですね。

(2)はそんな感じだと思います。(3)は、まぁ自明ですか。
3:バルタン星人 :

2010/08/07 (Sat) 20:52:25

反正則微分なんて用語はありませんが、
あのzの共役をとったものに関する微分の事です。

逆にzの微分が0になる関数を反正則なんて言ったり
するんですが、素粒子物理学の粒子と反粒子に
似てますねぇ。何故陽電子と反陽子と反中性子
から世界が出来ていないかなんていうのは、取りあえず
現実がそうなっているからいいとして、何故反正則と
正則の扱いが非対称なのかなんて言うのも、まぁ野暮な話
ですが、反正則関数についても正則関数の諸定理は成立するでしょうね。
4:弥の旧字体 :

2010/08/08 (Sun) 00:06:05

返信ありがとうございます。
モレラの定理は知っていましたが、実際使うとなると使えないと思っていたのですが、今回のような正則な関数を積分したような形の時は有効ですね。とくにコーシー・リーマンの関係式を使う時は全微分であることもいわないといけないので、(自明と書いても今回の場合は大丈夫のような気がしますが)一方モレラは連続(これは明らか過ぎるから自明として問題は絶対無いと思うが)であることと、今回の場合では1/(t-x)が正則であることを示すがこれも形から明らかでしょう。
5:sector :

2010/08/08 (Sun) 01:25:32

個人的にも積分表示された複素関数に対しては、モレラの定理で正則性を示すのが鮮やかだと思います。(1)は|t-z|≧Imzで収束が示せて、正則はFubiniを使えばOKかな?
(2)は|z|<δのときにexp(-z^2)になりますかね。
(3)は何を示せばよいのか俺にはちょっとわからない …具体的にどのような方針で解答を書くんですか?
6:バルタン星人 :

2010/08/08 (Sun) 09:44:44

(2)の結果と合わせて、fの定義式とは異なるfの表示を
得るわけですが、そのfの表示は複素平面全体で定義されている
正則な関数である事を言うだけです。

とは言いましたが、解答を覚えてないので実際にfの
表示式が複素平面全体で正則かは分りませんが、問題文
からはそうなる表示式が得られるはずです。

一方でfの定義式は上半平面だけで定義されているので、
それが複素平面全体に解析接続(正則性を保ちつつ
定義域を拡大する事)が出来た事になります。
7:バルタン星人 :

2010/08/08 (Sun) 09:50:03

sectorさんの解答を借りると

f(z)=(δを含む線積分,正則)+exp(-z^2) for |z|<δ

となりますね。δが任意なので、それをどんどん大きく
していけば、fは複素平面に解析接続出来ますね。

8:バルタン星人 :

2010/08/08 (Sun) 13:49:32

あんまり自明な事を書いていると怒られそうですが、
このfの定義式は下半平面でも有効で正則な一方、
実軸上では積分が発散をしていてそもそも値がないので
変形をした後に、実軸上での「値」を決定せよというのが、
この問題の趣旨でしょうね。

解析接続というのは一見して不思議な現象ですが、
これは実解析関数の理論、つまり大学一年レベルの数学で
以下のようにして既に確認できる現象です。

1/(1+x^2)のテイラー展開で定義される式を考えると、
そのテイラー展開は|x|<1でしか収束しないが、他方
もともとの分数式は実軸上で定義されている。

そこで、まずテイラー展開で定義される式を考える。
次に実解析性(つまりテイラー級数に展開出来る事)を
保ちつつ定義域を拡張する場合、このような拡張は一意で
(なぜなら複素関数論で証明される一致の定理はそもそも
正則関数の定理ではなく、べき級数で表示出来る関数に
対する定理)、それは1/(1+x^2)となる。

これは正則関数に対する解析接続と全く同じ現象です。
そもそも、正則性とは大雑把にいえばテイラー展開出来る事と
同じなので、整級数関数のカテゴリーで考えている事と
near equalだと思います。


9:バルタン星人 :

2010/08/08 (Sun) 13:59:39

1/(1+x^2)のテイラー展開で定義される式が
|x|<1でしか収束しない理由もちゃんとあります。

それはxに複素変数を代入した式1/(1+z^2)が、
|z|=1上に極±iを持つからです。

1/(1+x^2)のテイラー展開で定義される式が収束
していれば、xを形式的に複素変数を代入したものも
収束して正則関数を定めるので、収束してはいけない
事になります。

級数が発散する地点は、極を持っている事も一つの原因ですが
分岐点においても発散します。√xが原点中心の
テイラー展開が出来ない理由は、√zが原点を分岐点に持つからです。
10:sector :

2010/08/09 (Mon) 00:03:09

バルタン星人さん、ありがとうございます。解答のかき方に若干迷いましたが、この問題は解決できました。ただ、複素平面全体に対する表示は難しそうです(δ→∞のときの積分は計算できない?)。

複素解析でいうC1級(=C∞級)というのが、実解析においてのC∞級とは大きく差があることも、テイラー展開可能性から明らかなんですかねえ?いまだに複素解析は騙された様にしか感じていないです(笑)
11:バルタン星人 :

2010/08/09 (Mon) 07:56:25

あの表示式はδが表向き現れているだけで、
実際にはδに依存していないので、複素平面全体で
定まっている表示と考えてよいと思いますが。

無限回微分可能関数はC∞級と言いますが、
テイラー展開可能関数(実解析的関数)はCωと
表すようです。(ωは一応最小の極限順序数、
つまりNの順序数という感じで使われているようです)。
正則関数は複素解析的ですが、これは大抵
大文字のOで表します、杉浦光夫先生の「リー群論」
なんかではCωωと書いてあったりします。ただこれは
一般には使われていないですね。

そういえば、一応私は複素幾何専攻の筈なんですが、
複素解析における諸現象に対して、それが複素解析的
な関数固有なものか、実解析的関数にも共通するものかの
区別をやってみた事があまりないですね。
もちろんそこには大変大きな差がある筈です。と言うもの
偶数次元Cω級多様体で複素多様体の構造を持たないものは
沢山あるからです。

正則関数は調和関数と、その共役調和関数の和に掛けていますから
実関数として見たときには、単なる解析関数よりも
制限が大きい筈ですからね。

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